「推測にすぎない」「ご推察のとおり」「憶測で話す」。どれも「たぶんこうだろう」と考えることですが、推測は「手がかりから考える」、推察は「相手の気持ちや事情を思いやって考える」、憶測は「根拠なしに勝手に考える」という違いがあります。この記事では、3つの違いと、法律で使われる「推定」との違いを例文で整理します。
結論:根拠がある推測、気持ちを察する推察、根拠のない憶測
| 推測(すいそく) | 推察(すいさつ) | 憶測(おくそく) | |
|---|---|---|---|
| ひとことで | わかっていることを手がかりに、見当をつけること | 相手の気持ちや事情を、思いやって考えること | 確かな根拠なしに、勝手に考えること |
| 根拠 | ある(データ・状況など) | ある(相手のようす・立場など) | ない・とぼしい |
| よい意味か | どちらでもない | ていねい・思いやり | よくない意味で使うことが多い |
| よく使う形 | 推測する・推測の域を出ない・売上を推測する | ご推察のとおり・お気持ちを推察する | 憶測を呼ぶ・憶測が飛び交う・憶測で物を言う |
見分けるコツは、数字や事実から考えるなら推測、人の心を察するなら推察、根拠がないなら憶測です。「憶測」は、相手の話を「根拠がない」と退けるときにも使うので、目上の人の発言に使うと失礼になることがあります。
「推測」とは
推測は、わかっている事実やデータを手がかりに、わからないことの見当をつけることです。「推」は「おしはかる」、「測」は「はかる」という意味で、ものさしを当てるように見当をつけるイメージです。
- 過去のデータから、来月の売上を推測する。
- 足あとの大きさから、動物の種類を推測した。
- 今のところ、それは推測の域を出ない。
「推察」とは
推察は、相手の気持ちや事情を、ようすや立場から思いやって考えることです。「察」は「察する(思いやる)」の「察」です。ビジネスの場では、相手の気持ちをくみとる、ていねいな言い方としてよく使われます。
- ご推察のとおり、今回の計画は見送りとなりました。
- ご家族のお気持ちは、推察するにあまりあります。
- 先方にも事情があるものと推察いたします。
「推察されます」は、報告書などで「〜と考えられます」という意味でも使われます。相手の気持ちに限らず、ようすから考えたことを、ややかたく言う表現です。
「憶測」とは
憶測は、確かな根拠もないのに、いいかげんに推し量ることです。「臆測」と書くこともあります。うわさや週刊誌の話題など、事実がはっきりしないことについて使われ、よくない意味をふくむことが多い言葉です。
- 発表が遅れたことで、さまざまな憶測を呼んだ。
- 憶測で物を言うのはやめよう。
- ネット上では、根拠のない憶測が飛び交っている。
法律の「推定」との違い
法律では、「推定」という言葉が特別な意味で使われます。推定は、反対の証拠が出ないかぎり、そうだとみなして扱うことです。たとえば民法772条は、結婚している間に妻が身ごもった子は、夫の子と推定すると定めています。また民法32条の2は、一緒に亡くなった人たちのうち、どちらが先に亡くなったかわからないときは、同時に亡くなったものと推定すると定めています。
推測が「見当をつける」だけなのに対し、法律の推定は、証拠でくつがえさないかぎり、その扱いが決まるという強い意味を持っています。
言い換え表現
- 推測:予測・見込み・見当・類推
- 推察:お察し・拝察(さらにていねい)・お気持ちをくむ
- 憶測:当て推量・臆断・邪推(悪く考える場合)
確認クイズ:どれを使う?
Q. 「アクセス数の伸び方から、来年の会員数を( )する。」
→ 推測。データを手がかりに見当をつけるので「推測」です。
Q. 「お忙しい時期とは( )いたしますが、ご確認をお願いいたします。」
→ 推察。相手の事情を思いやるので「推察」です。
Q. 「社長の突然の辞任に、さまざまな( )が広がった。」
→ 憶測。根拠のはっきりしない見方なので「憶測」です。
まとめ
- 推測:事実やデータを手がかりに、見当をつけること
- 推察:相手の気持ちや事情を、思いやって考えること。ご推察のとおり
- 憶測:根拠なしに勝手に考えること。憶測を呼ぶ・憶測で物を言う
- 推定(法律):反対の証拠がないかぎり、そうだとみなして扱うこと