「エアコンの修理」「マンションの大規模修繕」「外壁のひび割れ補修」。どれも「直す」ことですが、修理は「壊れた機械や道具を、使えるように直す」、修繕は「建物などの傷んだところを、元の状態に直す」、補修は「傷んだ部分を、部分的に補って直す」という違いがあります。この記事では、民法や建築基準法、国土交通省の資料での使われ方をもとに、3つの違いを例文で整理します。
結論:機械なら修理、建物なら修繕、部分的なら補修
| 修理(しゅうり) | 修繕(しゅうぜん) | 補修(ほしゅう) | |
|---|---|---|---|
| ひとことで | 壊れたものを、使えるように直すこと | 建物などの傷んだところを、元の状態に直すこと | 傷んだ部分を、補って直すこと |
| 主な対象 | 機械・家電・車・時計など | 建物・住まい・設備・衣類など | 壁・道路・床・塗装などの一部分 |
| 範囲 | 壊れた箇所 | 建物全体〜一部(計画して行うことも多い) | 部分的・小規模 |
| よく使う形 | 修理に出す・修理代・車の修理 | 大規模修繕・修繕積立金・修繕費 | 補修工事・ひび割れ補修・補修材 |
見分けるコツは、動かなくなったものを動くようにするなら修理、建物を元の状態に戻すなら修繕、傷んだ部分だけを補うなら補修です。
「修理」とは
修理は、壊れたり、具合が悪くなったりしたものを、また使えるように直すことです。家電・車・時計・パソコンなど、機械や道具に使うことが多い言葉です。
- 動かなくなった洗濯機を、メーカーに修理してもらった。
- スマホの画面割れの修理代は、思ったより高かった。
- 車を修理工場に持ちこむ。
「修繕」とは
修繕は、建物などの傷んだところや悪くなったところを、元の状態に直すことです。住まいや建物によく使われ、法律にも出てくる言葉です。
民法606条は、家を貸している大家さん(賃貸人)は、借りている人が使うために必要な修繕をする義務があると定めています。雨もりや給湯器の故障などは、原則として大家さんが直すことになっています。また建築基準法では、建物の主要な部分の半分を超えて行う修繕を「大規模の修繕」と呼んでいます。
マンションでは、外壁や屋上などを12〜15年ほどの周期で直す「大規模修繕」に備え、管理組合が「修繕積立金」を積み立てます。国土交通省は「長期修繕計画作成ガイドライン」「修繕積立金ガイドライン」を出して、計画や積立金の目安を示しています。
- 来年、マンションの大規模修繕工事が行われる。
- 雨もりの修繕を、大家さんにお願いした。
- 修繕積立金が値上がりした。
「補修」とは
補修は、傷んだり、欠けたりした部分を、補って直すことです。「補」は「おぎなう」という意味で、悪くなった部分だけに手を入れるイメージがあります。壁のひび割れ、道路の穴、床のキズなど、部分的な直しによく使います。
- 外壁のひび割れを補修した。
- 道路の穴を、アスファルトで補修する。
- フローリングのキズを、補修材で目立たなくした。
例文で見る使い分け
| 場面 | 自然な言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫が冷えない | 冷蔵庫を修理に出した。 | 家電を使えるように直す |
| マンションの外壁を全面的に直す | 外壁の大規模修繕を行う。 | 建物を元の状態に直す |
| 壁の小さなひびを埋める | ひび割れを補修する。 | 部分を補って直す |
| 賃貸の部屋の設備が壊れた | 大家さんに修繕を依頼する。 | 民法の言葉でも「修繕」 |
| 服のほつれを直す | ほつれを繕う(修繕する)。 | 衣類には「繕う」も使う |
「改修」「修復」との違い
- 改修(かいしゅう):古くなったり悪くなったりしたところを、直してよりよくすること。「耐震改修」「改修工事」
- 修復(しゅうふく):壊れたものを、元の姿に戻すこと。文化財や関係にも使う。「仏像の修復」「関係を修復する」
- 修繕は元の状態に戻すこと、改修は直したうえで性能を上げること
確認クイズ:どれを使う?
Q. 「エアコンから水がもれるので、業者に( )を頼んだ。」
→ 修理。機械を使えるように直すので「修理」です。
Q. 「築15年を迎え、管理組合で大規模( )の計画を立てた。」
→ 修繕。建物を元の状態に直すので「修繕」です。
Q. 「台風で欠けた屋根瓦の一部を( )した。」
→ 補修。傷んだ部分だけを補うので「補修」です。
よくある質問
会計では「修繕費」?「修理費」?
会計や税金の世界では、建物や機械を元の状態に保つための支出を「修繕費」と呼ぶのが一般的です。性能を上げたり使える期間を延ばしたりする支出は「資本的支出」として、扱いが変わります。判断に迷うときは、税理士や税務署に確認してください。
賃貸の部屋の修繕は、誰が払う?
民法606条により、原則として大家さんが修繕する義務を負います。ただし、借りている人の不注意で壊した場合は、借りている人の負担になります。契約書に特別な決まりがあることもあるので、確認しましょう。
まとめ
- 修理:壊れた機械や道具を、使えるように直すこと。修理に出す・修理代
- 修繕:建物などの傷んだところを、元の状態に直すこと。大規模修繕・修繕積立金
- 補修:傷んだ部分を補って直すこと。ひび割れ補修・補修工事
- 改修は直してよりよくすること、修復は元の姿に戻すこと