「事故の原因」「売上が落ちた要因」「遅刻の理由」。どれも「なぜそうなったか」を表す言葉ですが、原因は「その結果を直接引き起こしたもの」、要因は「結果に影響した、いくつかの大事な要素」、理由は「そうした・そう考えるわけ(説明)」です。この記事では、法律での使われ方をもとに、3つの違いを例文で整理します。
結論:原因は「元」、要因は「いくつかある要素」、理由は「わけの説明」
| 原因(げんいん) | 要因(よういん) | 理由(りゆう) | |
|---|---|---|---|
| ひとことで | ある結果を直接引き起こしたもの | 結果に影響した、主な要素 | そうした・そう判断した、わけ |
| 数 | 1つに絞ることが多い | いくつもあることが多い | 1つでも複数でも |
| 向き | 出来事・現象の「元」 | 結果に「関わった」もの | 人の行動や判断の「説明」 |
| よく使う形 | 事故の原因・原因不明・原因を究明する | 要因を分析する・複数の要因・成功要因 | 理由を述べる・理由を説明する・〇〇という理由で |
見分けるコツは、出来事の「元」なら原因、いくつかの「関わったもの」なら要因、人が説明する「わけ」なら理由です。
「原因」とは
原因は、ある出来事や状態を、直接引き起こしたものです。「火事の原因はたばこの火だった」のように、原因 → 結果というはっきりしたつながりがあるときに使います。
法律でも使われる言葉で、たとえば不動産登記法には「登記原因」という言葉があります。売買・相続・贈与など、登記をすることになった元の出来事のことです。
- 火事の原因は、電気ストーブの消し忘れだった。
- システム障害の原因を突き止めた。
- 腹痛の原因は、まだわかっていない。
「要因」とは
要因は、ある結果に影響した、主な要素です。原因と違って、いくつもの要素が重なって結果が出たときに使うことが多い言葉です。ビジネスでは「成功要因」「減益の要因」「要因分析」のように使います。
- 売上が伸びた要因は、新商品と値下げの2つだ。
- 少子化には、さまざまな要因がある。
- 失敗の要因を分析して、次に生かす。
「原因」が「これが元だ」と言い切るのに対し、「要因」は「これも関わっている」という言い方です。原因を1つに決めにくいときは、「要因」を使うと正確になります。
「理由」とは
理由は、人がそうした、またはそう判断した「わけ」です。原因や要因が出来事の側から見た言葉なのに対し、理由は行動や考えを説明するための言葉です。
法律でも、理由を示すことが大切にされています。行政手続法8条は、役所が申請を認めない処分をするときは、原則としてその理由を同時に示さなければならないと定めています。「なぜだめなのか」を説明させることで、申請した人が納得したり、不服を申し立てたりできるようにするためです。
- 遅刻した理由を、上司に説明した。
- 体調不良を理由に、会議を欠席した。
- この案を選んだ理由は3つあります。
例文で見る使い分け
| 場面 | 自然な言い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 機械が止まった | 故障の原因は、部品の摩耗だった。 | 直接の元 |
| 業績がよくなった | 増益の要因は、円安とコスト削減だ。 | いくつもの要素 |
| 転職を決めた | 転職の理由は、キャリアアップです。 | 本人のわけの説明 |
| 病気になった | 病気の原因はウイルスだった。 | 直接の元 |
| 病気になりやすい | 喫煙は、病気のリスクを高める要因の一つだ。 | 影響する要素 |
「事由」「動機」との違い
- 事由(じゆう):理由や原因となる事実。法律や書類で使うかたい言葉。「解雇の事由」「やむを得ない事由」
- 動機(どうき):人がある行動をしようと思ったきっかけ。「志望動機」「犯行の動機」
- 理由は行動や考えのわけ全般、動機は心の中のきっかけ
確認クイズ:どれを使う?
Q. 「調査の結果、停電の( )はカラスの巣だとわかった。」
→ 原因。停電を直接引き起こしたものなので「原因」です。
Q. 「人口が減っている( )を、雇用・住宅・子育ての面から分析する。」
→ 要因。いくつもの要素を見ていくので「要因」です。
Q. 「申請が認められなかった( )を教えてください。」
→ 理由。判断のわけを説明してもらうので「理由」です。
まとめ
- 原因:結果を直接引き起こしたもの。事故の原因・原因不明
- 要因:結果に影響した主な要素。いくつもあることが多い。成功要因・要因分析
- 理由:そうした・そう判断した、わけ。理由を述べる・理由の提示
- 事由は書類で使うかたい言い方、動機は行動のきっかけ